「いろんな選択肢を自由にチョイスできるように」 女優?本上まなみさんが語る、子どもたちとの向き合い方

新型コロナウイルスの影響で約3カ月も休校を余儀なくされた日本の子どもたち。これからの学びのあり方や、家での過ごし方について改めて見つめ直した方が多いのではないでしょうか。

京都で暮らしながら仕事と子育てを両立している女優の本上まなみさんに、子どもたちとどのように向き合いながら日々を過ごしているのかについてうかがいました。

「ありがとう」と言ってもらえる喜びがスタートに

——7年前に東京から京都に移住されましたが、そのきっかけは何だったのでしょうか?

もともと私も夫も関西出身で、2人とも自然が身近にある環境で育ったということもあり、子どもにも同じように自然あふれる環境で育ってほしいという思いがありました。上の娘が小学校へ入学するタイミングに東京を離れようと夫婦で決断をしました。

——仕事では京都と東京を行き来されていて、仕事と家庭をバランス良く両立されていらっしゃいますね。

京都に来てからは夫婦それぞれの実家が近いので、仕事で家を空ける日が続いても家族みんなで子育てを助けてくれています。とても心強いですし、感謝しています。
周囲の環境もすごく良く、ご近所の皆さんにも恵まれていると感じています。さまざまな世代の方と触れ合う機会が増え、子どもを見守っていただけるだけでなく、私自身もコミュニティーの中で学ぶことが多いです。

——外出自粛の休校期間中はどのように過ごしていましたか?

我が家は4人家族で上の娘が中学2年生、下の息子が小学2年生ですが、夫も家で仕事をしていますので、休校要請が出てからは家族4人でずっと家にこもっているような状況でした。昨年末まで4年間、夫は東京に単身赴任していたので、特に息子は物心がついてからは父親との触れ合いが少ない生活を送っていました。こんなに密に過ごしているのは親も子どもも初めて、という感じです。

——ご家族の中で何か変化はありましたか?

家のお手伝いができる時間ができて、特に下の息子は生活力が身についたかなと思います。あとは親子の会話もすごく増えました。各国の報道を一緒に見たり聞いたりしてコロナウイルスについて話し合ったり。大人たちも未曽有の体験の中で試行錯誤しながら進んでいる状況ですが、家族で一緒に見て話をすることで、日本の社会の成り立ちや海外とのつながりなどもそれぞれが勉強できているのかなと思います。

——お手伝いは分担を決めているんですか?

子どもによって好きな家事、得意な家事がそれぞれ違って。息子は、雑巾を持ってあちこち拭いて回るのが好きなんです。家具と家具の隙間とか、窓のさんとか、そういったところを念入りに拭いては誇らしげに見せてくれます。あとはフレンチトーストを自分で作れるようになりたかったみたいで、毎朝飽きずに同じものを作り続け、今はすっかり手際良くできるようになりました。お姉ちゃんに食べてもらって「おいしいね、上手だね」と言ってもらえるのがうれしいようです。上の子は掃除機をかけたり食器を洗ったり。あとはお菓子づくりがしたかったみたいで。料理家のなかしましほさんの本が好きで、ヨーグルトチーズケーキやレモンのクッキーなどいろいろ作って、みんなでお茶の時間に食べたりしていますね。

拭き掃除をお手伝い中の本上さんの息子(提供=本上まなみ)

——苦手なことを克服するよりも得意なことを伸ばしていく方針でしょうか?

もちろん苦手なことを練習するのも大事ですが、今なら取り組めそうとか、今はまだ難しいかなっていう時期がそれぞれ子どもの成長具合によって違いますよね。意欲に満ちあふれているタイミングを逃さないようにしています。苦手なことばかり頑張ってもモチベーションは上がらないので、家族の一員として家の仕事をして、みんなに「ありがとう」って言ってもらえる、その喜びを感じてもらうことがスタートなんじゃないかな。

「そんなに焦らなくてもいいよ」

——学習の環境が変わりましたが、お子様たちはうまく順応できていますか?

下の息子は割とゆっくりなタイプで、学校でみんなと一緒に何かするということがやっと身につき始めた、小学生としての自覚がやっと出てきたというタイミングで急に休校要請が出て、翌日には最終登校日になってしまいました。まるっきり友達に会えなくなり、先生とお話もできない日々が始まってしまったので、彼の中で状況を理解するのは難しかったのではと思います。上の娘はある程度理解していて、オンライン授業にも割とスムーズになじむことができました。

——オンライン授業はどのように?

登校再開までの期間は、月曜から土曜まで午前中はズームを使って授業を受けて、あとはYouTubeで先生が作った動画を見ていましたね。授業がスタートした当初は戸惑いもあったようですが、少しサポートしたら慣れたみたいで。娘は小学校の頃からタブレットを使った授業があって、レゴブロックを使ったプログラミングの授業などもしていたので、デジタル機器を使うことには慣れていました。
下の息子は、学校のホームページから先生が作った動画を見たり、それと連動した課題をダウンロードして取り組んだりしていました。やっぱり学ぶということ自体を始めたばかりで、課題もなかなかモチベーションが上がらず親が右往左往するというか疲弊している状況でしたね(笑)。
子どもによって取り組める量も違うと思うんですが、うちの息子は興味がないことに関しては全く手を付けたがらなくて。なかなか進まない教科もありましたし、動画も見ているだけでは5分も持たないことも。先生の努力の結晶のようないい教材だと親は思っているんですけど、子どもはやっぱりそこまで続かない。彼らが学ぶべきことを家でサポートすることの難しさを痛感しました。

——それぞれ自分の端末を持っているのでしょうか?

子どもたちは持っていません。私と夫がデジタル機器を複数持っているので、それを使わせています。娘の学校の友達はほとんどがスマートフォンを所持しているようですが、うちの娘はあまり興味がないらしく。私は原稿を書くときはパソコンを使いますし、常に目に触れるところにタブレットもあって、子どもたちにとって特別なものという感じではないですが、使うときには必ず、特に下の子は親と一緒に。上の子も何か調べたいことがあったらまず親に聞いて、その内容によっては「じゃあ自分で調べてごらん」という形で使わせています。

——セキュリティや不適切なサイトの閲覧などを気にされる親御さんも多いと聞きます。何かご夫婦で話し合ってルールを決められたのでしょうか?

具体的に話し合ったわけではありませんが、子どもにインターネットを使わせるときは管理をちゃんとしようという感覚はお互いにありました。でもうちは基本的に全員アナログ人間で。ゲームもテレビゲームじゃなくて、ボードゲーム派。トランプや花札、百人一首をすることもあります。

みんなでゲームをしたり、ニュースを見て話し合ったり、家族そろって楽しんだり考えたりする機会が増えたという(提供=本上まなみ)

——学校で周りのお友達の影響を受けて、ゲーム機を欲しがったりしませんか?

いつか本人がどうしてもということになれば、相談して我が家にもゲーム機が来ることはあるかもしれないですけど。今はまだアナログなゲームで十分楽しんでいます。百人一首は息子が札を読んで娘と夫が札を取るんですが、息子の読み方がたどたどしくて、それを推理して取るという独自のゲームに(笑)。そうやって新しい方法で百人一首をしてみたり、身近なところでクリエーティブな何かが生まれるのであれば、そこを先に伸ばしたほうがいいんじゃないかなと。ボードゲームもプログラミングの教育に対応していそうなものが出ているんですよ。一緒にやりながら「よく考えられてるな」って思います。

——どんなボードゲームなんですか?

「ラビリンス」という、目指している宝を取りに行くために一枚ずつカードを足して道を作っていくゲームです。途中で道が通行止めになったりするので、工夫しながら逆算して組み立てていく必要があるんです。やってみたらプログラミングっぽいなと。そういうものがいくつかうちにあって。夫と息子は将棋を始めていますが、何手か先を読むという意味では同じですよね。対局相手が忙しいときは、タブレットで将棋をすることも覚えたようです。

プログラミング的思考を育むボードゲームも(提供=本上まなみ)

——デジタルなものもアナログなものも、いろいろツールがそろっていますね。

どちらかというと、子どものためにこんなことをしてあげたいっていうよりも、自分が楽しそうだから買って、よければシェアする感覚です。うちの息子はそういうほうが食いついてきますね。情報がいっぱいあって新しいものもたくさん入手できる環境になっていて、どれを選択するのも自由だけども、あんまり詰め込むことは親のほうからはさせたくないなと思っています。

——子どもの自発性を尊重しているということですね。

うちは教育方針ってほとんどないんですけども、「そんなに焦らなくてもいいよ」とは言ってあげたいと思っていて。私自身ものんびり屋さんだからというのもあるんですけど。以前読んだ本で、「昔は、子どもが育つのは畑の作物が育つのと同じで、ゆっくりお日様を浴びて水を吸い込んでちょっとずつ大きくなるということをみんなが体でわかっていた」というような言葉が心に残っています。時代はどんどん目まぐるしく変化しても、子どもが育つのにかかる時間は昔とはそんなに変わらないんじゃないかと私も思っていて。小さい頃からいろんな新しいことに触れるのも大事だけど、それを強制することはしたくないと思います。

学ぶ環境は一つではない

——小学校ではプログラミング教育が必修化されましたが、どう感じますか?

デジタル機器に興味がある子はたくさんいるでしょうし、学ぶ機会を持つことは大事だと思います。上の子がまさに小学1年生の時からそういう教育を受けてきました。周りのお友達ではすごくそれがはまったという子がいて、すごくいい巡り合わせだったんだなと思える一方で、うちの子はついていくのが必死で……。本人は本を読むのがすごく好きで、今は小説に夢中で手当たり次第に読んでいます。
デジタル機器が一つのツールとして選択肢にあるのはいいと思いますが、苦手な子も中にはいるので、プログラミング教育もさまざまなアプローチで進めていってもらえたらいいなと思います。あとは先生たちの負担が増す一方なのではという心配もあります。うまく環境整備がなされていい方向に向かっていくといいですが。

——選択肢が多い時代になったので、お子さん自身が選べる環境になったらいいですよね。

娘がオンライン授業を受け始めてからこんなことを言ったんです。「ただ先生の話を聞くのが勉強なんだって今まで思っていたけど、そうじゃなくて自分のペースで家でも勉強ってできるんだね」「動画は自分のペースで何回でも繰り返して見られるし、自分でかみ締める時間が取れるから、私はこっちのほうが向いているかも」って。
コロナウイルスの影響で外出自粛の期間があって、娘が学ぶ環境は一つではないと気が付いたように、きっといろんなおうちでいろんな子どもたちが何かしら感じていると思うんです。学校が合わなくて辛い子もいるだろうし、学校こそが自分のいるべき場所なんだって思えている子もいて、子どもによって安心できる場所は違う。それが学びにつながっていくときに、いろんな選択肢を自由にチョイスして「こっちは駄目だったけどこっちはどうだろう」と容易にスイッチできるような状況が少しでも広がったら、それは素晴らしいことなんじゃないかと思います。
今後学年が進むにつれて、これまで慣れていなかったパソコンを使う機会も増えるかと思います。選択肢が多い時代になったので、ツールに関しても、その使い方に関しても、それぞれのお子さん自身が選べる環境になっていくといいですね。

PROFILE

本上まなみ(ほんじょう?まなみ)

女優、ナレーター、声優、エッセイスト、絵本作家。1975年東京都生まれの大阪府育ち。著書に『落としぶたと鍋つかみ』(朝日新聞出版)、絵本に『こわがりかぴのはじめての旅。』(マガジンハウス)など。京都に移住しておよそ8年。

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