永瀬正敏フォトグラフィック?ワークス 記憶

(69) 俳優?葉星辰の目力受け止めた 永瀬正敏が撮った台湾

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回は、台湾映画「KANO」で共演した俳優の葉星辰(イエ?シンチェン)さんを撮ったカット。永瀬さんのある一言で、一瞬にして表情が変わったというのです。

(69) 俳優?葉星辰の目力受け止めた 永瀬正敏が撮った台湾

?Masatoshi Nagase

台湾ではありがたいことに、何度も写真展を開催させていただいている。
台北はもとより、台中、新竹、高雄など、さまざまな街で。

台湾で出会った俳優、葉星辰さん。
彼女とは台湾映画「KANO」で共演させていただいた。
ある台湾での写真展のメインビジュアルを考えていた時、真っ先に彼女にお願いしようと思った。
「KANO」での表現の素晴らしさ、普段の気取らない振る舞い、屈託のない笑顔、
「KANO」の写真集「This Moment」でも撮り下ろしをさせていただいていたので、
ぜひまた撮影させてもらいたかった。

こちらは二つあるメインビジュアルのうちの一つ。
彼女に「台湾に住む方々のアイデンティティーの複雑さを表現したい」と耳打ちし、
口を手で覆ってもらった。
すると、いつもの美しくかれんな笑顔から、一瞬で彼女の目が変わった。
その瞬間「もうこれは撮れた」と確信し、このシチュエーションの撮影はすぐに終了した。

映画で共演させていただいた俳優さんを、改めて撮影させていただくのは、このうえなくうれしい。
今まで共演した全ての方々を、全員撮影できていればと思うと、残念で仕方ない。
新人だった方から、尊敬する役者たち、大先輩まで全員撮影させてもらっていたら、
それだけでもう、特別なものを残さなくても、僕の歴史を物語ることになっただろう。

彼女のニックネームは名前の「星」からとって「スター」。
「KANO」で共演した時はまだキャリアの浅い新人だったが、
今はニックネームの通り、スターへの階段を確実に上っている。
それでも、初めて会ったあの日から何も変わらない人柄に、会うたびに心が洗われる。

バックナンバー

>>連載一覧へ

PROFILE

永瀬正敏

1966年宮崎県生まれ。1983年、映画「ションベン?ライダー」(相米慎二監督)でデビュー。ジム?ジャームッシュ監督「ミステリー?トレイン」(89年)、山田洋次監督「息子」(91年)など国内外の約100本の作品に出演し、数々の賞を受賞。カンヌ映画祭では、河瀬直美監督「あん」(2015年)、ジム?ジャームッシュ監督「パターソン」(16年)、河瀬直美監督「光」(17年)と、出演作が3年連続で出品された。近年の出演作に常盤司郎監督「最初の晩餐」、オダギリジョー監督「ある船頭の話」、周防正行監督「カツベン!」、甲斐さやか監督「赤い雪」など。写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2018年、芸術選奨?文部科学大臣賞を受賞。

(68) ひょっこり現れた小さな命 永瀬正敏が撮った台湾

一覧へ戻る

(70) 地上に生まれた奇跡の瞬間 永瀬正敏が撮った台湾

RECOMMENDおすすめの記事

国产 日本 欧美 亚洲 日韩/亚洲手机在线人成视频/经典三级/人妻 熟女 有码 中文