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 鹿児島県垂水市で9日、老朽化に伴う庁舎移転計画の賛否を問う住民投票があり、計画反対が賛成を上回った。尾脇雅弥市長は同日夜の記者会見で「市民の判断に従い、計画を白紙にする」と表明した。住民投票で庁舎移転計画が撤回されるのは異例。

 投票率は68?83%(当日有権者数1万2456人)。開票結果は賛成4080票、反対4424票で、反対が賛成を344票上回った。

 市庁舎移転を巡っては、建設から60年超の現庁舎が現在の耐震基準を満たさないことから、市が海沿いの埋め立て地に鉄筋4階建ての新庁舎建設を計画した。事業費は約43億円。これに対し、複数の住民グループが、建て替えの必要性は認めつつ、予定地の地盤の弱さや浸水被害の恐れなど防災上の問題に加え、規模や予算も大きすぎると反対していた。

 地盤改良などで「災害に十分対応できる」とする市は当初、住民投票に否定的だったが、反対が根強い中で計画を進める打開策として実施を決めていた。尾脇市長は「大変残念だが、当面は新庁舎建設は難しく、現庁舎の安全面強化を考える」と述べた。

 地方分権に詳しい新藤宗幸?千葉大名誉教授(行政学)は「庁舎移転問題を巡る住民投票は全国的にも珍しい。市民の意見が割れた問題を住民投票にかけ、その判断を尊重する市の姿勢は評価できる」と話した。(稲野慎)