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 2020年夏季東西東京都高校野球大会(都高校野球連盟主催、日本高野連、朝日新聞社後援)は10日、ダイワハウススタジアム八王子で東西決戦があり、西大会優勝の東海大菅生が3―2で東大会優勝の帝京を破り、「東京一」に輝いた。東海大菅生は九回に森下の2点適時三塁打で同点に追いつき、臼井がサヨナラ適時打を放った。帝京は先発の田代が好投したが、最後に涙をのんだ。

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 九回裏、差は2点。東海大菅生は先頭の千田光一郎(2年)がチーム2本目の安打を放ち、さらに無死一、二塁とチャンスを広げた。打席に向かう森下晴貴(3年)に若林弘泰監督が告げる。「3年生の意地を見せろ。決めてこい」

 2球目の甘い高めのスライダーを振り抜いた。打球は左中間へぐんぐん伸び、フェンスで弾んだ。1人、また1人と走者が本塁を踏む。同点。三塁に達した森下は両手をたたき、沸き返るベンチの歓声に応えた。

 入学後、夏の西東京大会では2年続けて準決勝で敗れ、最後の夏こそはと甲子園をめざした。しかし、コロナ禍で選手権大会は消えた。一時は落ち込んだが、6月に寮に戻ると、みんなと話し合った。甲子園はなくとも、独自大会で東京一になる。そう切り替えた。

 チームの中軸として「打てない外野手はいらない」と素振りを繰り返し、フォーム固めに努めた。西大会では準々決勝以降3試合で打率6割超。決勝では同点の適時二塁打を決めた。そして最後の東西決戦。「ベンチ外の3年生の分も」と同点打を放ち、最後に中前打でサヨナラのホームを踏むと、人さし指を突き上げて歓喜の輪に囲まれた。

 試合後、「甲子園があれば、という思いがちょっとだけある」と苦笑した。一方で「ほかの年にない大会で東京一になれて満足」とも。大学でも野球を続け、プロ野球をめざす。そうすれば甲子園で戦える。「甲子園なき夏」の閉幕は、始まりでもあった。=ダイワハウス八王子(木村浩之)